「イスラーム研究講座」が11月25日(水)学士会館で開催されました。塩尻筑波大学名誉教授が「イスラームの基礎知識」について、イスラーム発展の概要、基本的な思想などを講義され、協会会員約15名が聴講に参加しました。

(講義要旨)

1 イスラームは、

  1. アラビア半島の商業都市マッカ(メッカ)で興った一神教であり、1922年、オスマン帝国が滅亡するまで、イスラームはある意味で政治的にも文化的にも世界の中心。
  2. 共通の租アブラハムに由来する宗教として、ユダヤ教、キリスト教と同一の「セム的」伝統を持つ兄弟宗教。
  3. イスラームは、普通の日常生活の中にこそ宗教的な修行の場があるとする在家の宗教であり、政治や経済にも直接の指示を与え、いわば「政教一致」を理想とし、一般的な宗教の枠内には収まらない多様性がある。

2 イスラームの基本的な教義を、その存在を信ずべき「六信」(神、天使、聖典、預言者、来世、予定)と、行うべき宗教儀礼である「五行」(信仰告白、礼拝、喜捨、断食、巡礼)としてまとめている。

また、在家の宗教であるイスラームでは個人と社会は相関関係にあると見なされ、ムスリムは、同時に共同体「ウンマ」の成員となる。原則として教団組織を持たないイスラームでは、宗教上の決定権は一般信徒にあり、ウンマが社会の進路について責任を負う。

塩尻名誉教授は、イスラーム発展の歴史、根本的な思想と教義、他宗教との関連などについて、基本的な考えを明確にしながら分かり易く説明され、基本的な思想は宗教全般に共通する概念であり、「イスラームは普通の宗教です」と話されています。

我々は、イスラームについてややもすれば「偏見」ともいえる理解不足のところも否定できません、塩尻名誉教授のご指摘は傾聴すべきことで、相互理解と寛容の姿勢で友好活動に取り組む重要性を改めて認識いたします。

塩尻名誉教授のご厚意とご理解により、今回の講義資料「イスラームの基礎知識」をご関心の方に活用していただけることになりました。

ご希望の方は、協会事務局にご連絡ください。皆様の友好活動の参考にして頂ければ幸甚です。また、「イスラーム研究講座」は皆様のご意見を踏まえて充実して参ります、アドバイスを併せていただくようお願い申し上げます。

(文責:協会事務局)